彼は、理想の tall man~first season~


バイト君は、私が大丈夫かなと心配になるくらい、なんだか情けない顔をして、オロオロしていた。


「あ! あっちゃん、これに書いてあるわ」

晃がピザの箱に貼ってあった明細書を手に、敦君の近くに移動して、バイト君はそれにハッとしたような表情になった。


「バイト始めて間もないん?」

そう聞いた晃に「すみません」と言いながら、それを肯定したバイト君。


「えっと、5183円です。ご確認下さい」

「――はい、確かに」


敦君は渡されたお釣りを確認。


「これに懲りずに頑張って続けろよ、青年」

「は、はいっ。すみません、ありがとうございます」

バイト君を励ましてから、敦君は玄関をそっと閉めた。


やっぱり対応が大人。

へまをしても、ああやって励まされると、次に繋がる。

短気でもなさそうな雰囲気を伺い知れ、リビングに戻ると、尚輝は携帯で誰かと話していた。


私を見るなり、なんだか楽しそうに電話相手に向かって「そうなんだ」と、言っていた尚輝。

「これから飯だから」と、通話を終えた尚輝は、スタスタ歩き始め、食器棚からお皿を4枚取り出し、私は再びサラダ作りを再開させた。