彼は、理想の tall man~first season~


それでも今日は、もう少し一緒にいたいという気持ちが勝ってしまった。


「あの、」

「んー?」

んーと言いながら、軽く伸びをした敦君。

やっぱり疲れたに決まってる。

家でコーヒーでもどうかなと思ったけれど、どうしよう。


「なぁに、どうかした?」

「えっと・・・・・・その」

「うん?」

言い留まっている私に、「どうかした?」なんて。

優しい声を向けてくれたから、早速我が儘を言ってしまった。


「家でコーヒー飲んで行かれませんか?」

「んー? もう少し、ライトに誘ってくれたら、そうさせてもらおうかな」

「・・・・・・え?」


余所余所しかった誘い方に、まさかのダメ出し?

妙な切り返しに瞬きを数回していた私を見て、敦君は頬を緩ませた。

私をいちいちドキドキさせるその顔は、大分反則。


もっと素直に誘った方がいいのかと思って――

「あの、もう少し、一緒にいたいから」

―――ダメですか?

私は顔を熱くさせながら、そう言ってしまった。


久し振りの恋ってヤツは――時に人を大胆にさせる。

落ち着かないし、変にふわり浮つかされている。