「尚輝の家は誕生日は、特別家族で祝ったりするのか?」
「それなら別に気にしなくていいっすよ。まぁ、実家から帰省コールがないこともないんですけど、ここ数年は誕生日ピッタリってのも、なかなかね」
尚輝の言葉を聞いて、やはりご両親にとって、この双子の誕生日は特別な日なのだろうと。
連れ出してもいいのかと、ちょっと申し訳ない気になった。
「この歳で親と一緒に毎年ってのも、正直どうかと思ってたんで」
「双子で特別に祝ったりとかもするのか?」
「んー、お互い特に特別な人がいなければ、友達集めて飲み会コースみたいな感じですけど」
「それじゃなんだか連れ出すの気が引けるな」
「いや、寧ろ連れ出してもらった方がいいかも」
「いいのかよ?」
「何か・・・・・・俺、限界だわ」
「ん、なにが?」
俺の問いに、今は言えないから後でね、と――そう言った尚輝の表情は、どこか曇っていた。
気付けば彼女と晃、2人がいなくなっており、廊下の先からバタンとドアを閉めてリビングに入って来る彼女の姿。
その表情は、ふてくされているようで、不機嫌さを感じた。


