嫌味と無邪気な笑みを向けられても、憎めない所が流石は尚輝だよな、と。
俺も笑うしかなかった。
「んなこと言ってても、あっとういう間だぞ、30なんて」
「俺も来月で25だもんなぁ。あと5年で三十路か? うわ、晃早くねぇ? 30まで」
「だなー」
そんな会話をしていると、シャワーありがとうございましたと言いながら、彼女が恐る恐るリビングに入って来た。
そして、俺と目が合うと、彼女は小さく頭を下げた。
多分――というか、完全にノーメイク。
だけど、その素顔は、普段の彼女と余り変わらない。
素顔でも綺麗だというのは、女は化粧でバケる恐ろしさを知ってしまった三十路の俺にとっては、かなりポイントが高い。
目元は尚輝によく似てて、改めて双子を並べて見ると、文句なしに美男美女だった。
「オイ、美紗の所為で赤くなっちまっただろ」
「うるさいな、バカ晃」
「なんだと、ブス」
「ブス言うな、ハゲ!!」
「テメ、俺のどこがハゲなんだよ!!」


