今まで関係を持ったような女とは、どこか違う域にいるとも思えて、それを本当に新鮮だと感じていた。
素で寝て、勘違いはさることながら――寝ぼけているとか。
それら全て、計算しての行動だったら、魔性族なんだろうが。
尚輝の話を聞く限り、そういうことを平気で出来る子ではないだろうし、彼女のあの雰囲気では先ずあり得ないだろう――。
携帯が鳴って、相手を確認すると、彼女の手強なお兄さんからだった。
「もしもし」
『あ、敦さん? 起きてた?』
朝っぱらから、なんとも無邪気な質問。
「ああ、丁度今風呂から出たところだ」
『美紗は、起きてる?』
「今、交代で風呂入った所だ」
『あー、マジか。じゃあさ、朝飯はまだ食べてない?』
「食べてないな」
『俺ら今、牛丼屋の近くにいるんすけど買って行きます?』
「は、牛丼屋? お前、飲み明けに随分ハードなもん食うな」
『あはは、まあ、若いから』
「嫌味かよ」
『ちょっとね。美紗の着替え必要だろうし、買って持って行きます』
「おー悪いな」
いやいや、美紗を泊めてもらったお礼だから――と、律儀で手強いお兄さんは電話を切った。


