「声掛けたら自分で着替えはしてたけど、歩いて帰せる状況でもなかったから、そのまま俺の部屋に寝かせたんだけど」
決して変なことはしてないと、そこまで言えなかったのは――あれって尚輝だったんじゃと、彼女が呟いたからだった。
「ごめん、取り敢えず――俺、後ろ向いてるから一旦脱衣所に出てもらってもいいかな?」
「あっ!! ごめんなさい」
彼女はドタバタと出て行った。
俺は、朝からどうしたもんかと困り果てた。
一瞬見えてしまった彼女の身体は、美意識が高いんだろうと、そう思わせるに充分な身体だった。
これ以上そんな事を考えていたら、変な気分になりかねないと思い。
きっと手早に服を着ているであろう彼女に「美紗ちゃん」と、そう声を掛けた。
「は、はいっ!!」
相当動揺している感じのその返事に、思わず頬が緩む。
「シャワー使ってくれて構わないから、ちょっと部屋で待ってて貰える? もう上がるから」
彼女を脱衣所に出した所で、俺がそこへ出て行けないと、今更気付くあたり、俺も相当動揺していた。
「あの、本当にすみませんでした」
気にしなくていいよ、と言いたい所ではあったが。


