彼は、理想の tall man~first season~


「声掛けたら自分で着替えはしてたけど、歩いて帰せる状況でもなかったから、そのまま俺の部屋に寝かせたんだけど」


決して変なことはしてないと、そこまで言えなかったのは――あれって尚輝だったんじゃと、彼女が呟いたからだった。


「ごめん、取り敢えず――俺、後ろ向いてるから一旦脱衣所に出てもらってもいいかな?」

「あっ!! ごめんなさい」


彼女はドタバタと出て行った。


俺は、朝からどうしたもんかと困り果てた。

一瞬見えてしまった彼女の身体は、美意識が高いんだろうと、そう思わせるに充分な身体だった。

これ以上そんな事を考えていたら、変な気分になりかねないと思い。

きっと手早に服を着ているであろう彼女に「美紗ちゃん」と、そう声を掛けた。


「は、はいっ!!」

相当動揺している感じのその返事に、思わず頬が緩む。


「シャワー使ってくれて構わないから、ちょっと部屋で待ってて貰える? もう上がるから」


彼女を脱衣所に出した所で、俺がそこへ出て行けないと、今更気付くあたり、俺も相当動揺していた。


「あの、本当にすみませんでした」

気にしなくていいよ、と言いたい所ではあったが。