彼は、理想の tall man~first season~


まだ寝ているだろうし、流石に起きれば此処がどこだか分かるだろうと思っていた俺は――脱衣所から聞こえて来た物音で、嫌な予感に襲われた。


晃が帰って来たのなら、それはそれでいいと思った――が。

明かりも点けずに入ったことを失敗だったと思ったのは――


「――はっ?」

「えっ、えっ、嘘っ!!」


突然、裸の彼女が、風呂のドアを開けて、入って来たからだった。


「キャー」と言いながら、その場にしゃがみ込んだ彼女。

状況に焦りながらも、俺はどうする事も出来ずにいた。


「え、なっ、なんでっ!? なんで、中條さんが入ってるんですかぁ」


未だにここを自分の家だと勘違いしている彼女には、焦らされながらも、ちょっと笑ってしまった。


「ごめん。ここ、俺の家なんだけど、昨日の夜のことは覚えてない?」

「え――きっ、昨日の夜? 昨日の夜のことって、なんですかっ? 確か一緒に、」


多分、立って出ることも出来ないであろう、羞恥に包まれている彼女。

その彼女は、しゃがんで自分の体を抱え込み、戸惑いの声を上げていた。


「そう――うちで焼酎飲んでてそのまま夢の中」

「――えっ?」