『げ、まじっすか? あ――敦さん』
「ん?」
『もし美紗が敦さんのことを警戒してたなら、そんなことには多分なってないと思いますよ』
「――そうなのか?」
『多分ですけどね。美紗は、違った意味で嗅ぎ分けるから』
「なにをだ?」
『いや、まあ、いいんだけど』
「そうか――取りあえず明日起きたら帰すけど、俺はソファーで寝てるから、晃には帰って来たら静かにしてろとだけ言っといてくれ」
『うん、でも、多分、晃は今日潰れると思うから、不帰だと思うよ』
それに俺が潰す前に、多分自分で潰れてく感じの方向だと思うけど、と――尚輝はそう言って少しだけ笑った。
「あんま、飲み過ぎるなよ?」
『俺は大丈夫かな――ってことで、今日は晃はそっち帰んないから、取り合えず美紗のことはよろしく』
「おお、じゃあまたな」
『おやすみなさーい』
ベランダに出て、煙草に火を点け。
そういえば、べランダでの喫煙は禁止されていたかと気付き、すぐさま部屋に戻った。
ベランダに出る大窓の手前でそれを吸い、外に煙を吐き出し。
これじゃ、あんまベランダでの喫煙を禁止にする意味はないなと思ったが。


