恋心を抱く――というか、現に抱いている自分がいるのだから――断る理由がどこにあるのかって結論には達する。


最終的に踏み出せない何かがあるとしたら、やっぱりそれは晃のことが――。


付き合うことになれば、男女関係になる可能性は往々にある訳で。

自分の義弟と自分の付き合った女が、男女関係を持っていたと中條氏が知ったとしたら?

間違いなくその後の選択は――交際破綻しかないだろうと、そう思った。


バレなかったらいい問題ではないだろうし。

人間性を疑われ兼ねない爆弾なのだと。

今になって、この重要な局面で晃との関係を後悔していた。


でも、あの時――街で声を掛けて来た人に付いて行って、初体験記念行事をあっさり済ませてしまえば良かった?

ううん、そんなことはない。


頼んだのが晃だったから、私は多分最後まで出来たことで。

見ず知らずの誰かだったら、やっぱり怖くて出来なかったように思う。


全ては、自分で決めて、自分の意志でしたことだ。

今更、後悔って言葉ひとつで片付けたくはない。

晃に対してだって、後悔という言葉を向けたくはない。


割り切って付き合うか――。