お礼を言って受け取ろうとした時、少し触れてしまった中條氏の手にドキンとして。
自分が男の人に対して、余り免疫力が強くないことを実感。
「上着、乾かした方がいいだろうから」
――貸して、みたいな手を出され、それを脱ぐと中條氏は部屋を出た。
渡されたタオルで髪を軽く拭かせてもらって、微妙に濡れていたスカートも軽く拭かせてらって――そこで、くしゃみが出た。
なんとなく肌寒い。
流石に夜だし、シャツ1枚だから、雨に濡れた後なら当たり前かと思っていると――。
「風邪ひくといけないから、」
これ、羽織ってなよ――と、神の声。
中條氏がサマーカーディガンを片手に戻って来て、それを私に渡してくれた。
羽織らせてもらったそれは大きく。
「やっぱ大きかったか」
中條氏は笑ってて。
本当に大きいから、私もなんだか笑ってしまった。
「なにか、飲む?」
「いえ、大丈夫です」
「遠慮しなくてもいいんだよ――って言っても、酒かコーヒーしか出せないけど」
「えっ?」
「なんも無いに等しいから」
男所帯って、そういうものなのかと思いながら、やっぱり笑ってしまった。


