「あれ、雨か?」


その時、突然――雨が降り出して来た。


「あ、本当だ・・・・・・雨ですね」


中條氏と私は素早く立ち上がって、濡れないようにとマンションの方へ小走り。

だけど、短時間で強くなった雨に、軽く濡れてしまった。


「急に、凄いですね」

「全くだね」


入ったマンションのエントランスは、中條氏が住む方のマンション。

そこから、地面を打ち付けている雨を見ていた。


「止むまで、うちにいる?」

「え? だ、大丈夫ですよ。走ればそんなに――」

「隣って言っても、結構距離あるよ? それに、その履き物で走ったら危ないでしょ」

「あ――」


私の足元は、そこそこヒールのあるパンプス。

先程とは打って変わって、土砂降りになった雨。

我がマンションまで走り込むのは、間違いなくずぶ濡れ決定だ。


ついているのか、ついていないのか?

どっちなんだろう――。

なんて考えている辺り、もう少し一緒にいたいのかもなんて思っている私がいた。


「尚輝か? 今、俺の方のマンションの下にいるんだけどな、」

気付けば中條氏は、尚輝に電話をかけてくれていた。