好きだと、ハッキリ言われたワケじゃないし。
ただの思い付きなのかも知れないし。
単に同情してくれての申し出かも知れない。
近そうで近くない、中條氏と私の距離感。
私は、その距離感が結構好きだったりする――。
それが付き合ったら、どう変化するのか?
案外、変化はしないかも知れない。
ただ、その背丈がある人に、抱きしめられてみたいって願望は心の底にある。
一度でいいから、それがどんな感じなのか、体感してみたかったり。
多分――中條氏は忙しい人だから、付き合っても、そんなには会えないかも知れない。
けど、隣のマンションに住んでいるってことは、そうでもないのかも知れないし。
ただ、同室には晃がもれなくいて。
私とアイツの間には、知られたくない関係――秘密がある。
それを知られないようにと、知られまいと、隠して付き合い始めたとしても、私はそれに耐えられないかも知れない。
かと言って、最初にそれを言えるほど、私もバカではない。
例の同伴の件もあるから、断るのも気まずい。
それに、こんなに理想の体格の人に出会えるチャンスなんて、この先もうないかも知れない。


