「うん」

「でも、もともとある身長を、低くは見せられないから――男に生まれて来れたら良かったのにって、何度も思いました」

「んー」


どうせ双子なら、尚輝と同じ性別で、尚輝と同じ顔で。

一卵性が良かったと、そう思う時期もあった。


「大は小を兼ねますけど、私の中では、大は大で。小は大をも兼ねられるって定義です・・・・・・背に関して言えばですけど」

「うん」

「あと8センチでいいから低くありたかったなって思います」

「なんで、8センチ?」

「そうすれば、高いヒールを履いても、それが今のノーマルな背って感じなんで」

「女の子は、色々大変だ」

「そうですよー。私、この背がコンプレックスで、恋愛に対して卑屈になって――いい恋だったなーって思える恋、したことないです」


私はそんなことまで、語ってしまっていた。

お酒の力って怖い。

だけど、止めたいのに、勝手に口が開いちゃうんだから仕方がない。


「確かに女の子は、背が高いと不利に働くことがあるかも知れないね」

「え? あ、はい」


いきなり中條氏がそんな風に言うもんだから、ちょっと吃驚してしまった。