彼は、理想の tall man~first season~


「はい?」

「もしかして、美紗ちゃん一人で行こうかなって気でいる?」

「え? はい」


松本さん一家は、きっと松本さんが運転して、車か新幹線だろうし。

流石にそれに一緒にくっついて行くなんて、空気が読めない略してKYな事は出来ない。

当たり前に1人で行く気満々だった私は、「そうなのかなって思ったけど」と、言われて。

はい、ですよね――なんて思っていた。


けれど――

「折角の機会だし、別々に行くのも不自然だからさ、俺と一緒に行く選択肢を増やしてもらえないかな」

――中條氏はのたまった。


「え? あの、でも、いいんですか?」

「なにが?」

「大学時代のお友達の結婚式とかなら、お友達の誰かと一緒に行ったりとか、」

「ないね」

「――はい?」

「同伴者有って言うなら、他のメンバーも誰か連れて行くだろうし」

「あ、そっか――そう、ですよね」

「車で行く気なら、車は俺が出すし。どこか寄って行きたい所があるなら、少し早めに出てもいいし」

「いいんですか?」

「いや、こっちが無理にお願いしたことだから、それくらいはさせてもらわないと、俺の気がすまない」