此方サイドは、完全に松本さんに嵌められたに違いないと、思わざるを得ない状況。
なかなか策士だと、逆に感心してしまった。
松本さんは、お子さんを実家に預け、夫婦で行く予定でいたみたいだったけど。
折角の温泉地だからということもあり、ご両親も連れて一家でホテルに泊まる予定だと、楽しそうに語ってくれた。
披露宴まがいの2次会の間は、ご両親にお子さんを見て貰い。
夫婦で久々に飲むと、今からそれが楽しみと言わんばかりの口調。
私はそんな松本さんの話を聞きながら、家族っていいなとか、呑気に思っていたんだ。
松本さんは、なんなら俺達夫婦と一緒に大部屋で、3次会するか?
とか、すっかり旅行気分。
それらの話を聞くに徹していた私は、ちょっと楽しそうだな、なんて思っていた。
1人で泊まるのは、ちょっと寂しいものがあるし。
かと言って、中條氏と2人でとかは不自然な気もするし。
下手に変なシチュエーションも困ってしまうから。
出来れば奥様と一緒に大部屋がいいとか考えていた私は、運ばれて来たウィスキーを、意気揚々と飲んでいた。
「いい飲みっぷりだねぇ、結構飲めるんだ」


