すると途端にパッと顔を上げた松本さんは、うってつけだからと、なぜだか力強く言って、ニコッと笑った。
「今日は、おじさんの奢りだから、好きな物じゃんじゃん頼んでいいよ」
私が同伴する事が松本さんの一存で決まってしまったような。
そんな雰囲気に、なってしまっていた。
ただ、車のことでは何かとお世話になる松本さんの頼みなら、私に出来る事で役に立てるなら力になりたい所だけれど――。
でも、私で良いか悪いかは、松本さんの判断ではなく、中條氏が決める事だと思うし。
中條氏は松本さんには親しくしてる女性はいないような事を言ってはいたけれど――実はいるかも知れないし。
どうしたらいいんだろう?
そう思っていた時、松本さんはお手洗いへと席を立ってしまった。
個室に残された中條氏と私。
とっても変な緊張感に支配されていた。
「ごめんね、変なこと頼んで」
「いえ、あの、別に大丈夫ですけど――えっと」
私はどうしたらいいんだろう?
どっちなんだろう?
そう思っていると。
「同伴の件、お願いしてもいいかな?」
中條氏は、私の目を見て――ハッキリとそう言って来た。


