彼は、理想の tall man~first season~


2人のやりとりを聞きながら、中條氏って決め方がゆるい感じだなと、サラダをつつきながら私は呑気に思った。


「あ、そうだ」

「んだよ?」

「奥さん同伴、若しくは彼女同伴らしいんだけど、中條ロンリーじゃん?」

「はぁ? なんだよその面倒な条件付き参加」


中條氏の面倒臭そうな切り返しに、確かにそういう条件は面倒だと呑気に思っていた私は、今度はキュウリの浅漬けをつっついた。


「中條ならそう言うだろうと思った! まあ、別に単体で出席でも構わないんだろうけど」

「なあ、松本――お前、その同伴条件、ワザと隠してたろ?」

「いや、んなこたねぇけど」


頭のキレそうな松本さんが、そんな重要なことを忘れないだろうと、それは私でも思った事。

だから、疑いの眼差しを向けている中條氏は、多分正解だ。


OKした後に出された条件。

私は中條氏にちょっと同情してしまった。


「俺が行くって言ってから、思い出したふり的な芝居が、いかにもだろ」

「まあ、そんなことよりさ、単体で行くと色々面倒なことになるんでねぇの?」

「あ? どういう意味だよ?」

「心配してやってんだろ」

「だから何を」