「そうですね。新しい物を手にすると、なんでかやる気が出ます。ただ、その気持ちを持続させるのは難しいですけど」
「アハハ、確かにそうだね」
椅子に座りながらの会話は、結構弾んでいるように感じた。
「家電選ぶなら、機能派? デザイン派?」
「んー私は、どっちもって言いたい所ですけど、最後は機能を取っちゃいますかね」
「それじゃ、人も家電も中身が重要派かな?」
「んーそうですね。うん、そうかも」
彼氏に限ってはそうではないかも知れないって、ふと思ったけれど、それは黙っておいた。
「高機能になればそれだけ中身が複雑になって、使っていくうちにどこか不具合が生じて、修理が必要になる」
「それって、本当に人に似てますね。あまり難しい事を考えないで生きてく方が、心が健全でいられるんでしょうね。でも、それでも人には向上心があるから、」
「人も家電も難しいってことかな」
「ふふっ、そうですね」
中條氏の私生活を想像しながら選んだ家電。
そして、その後交わした会話。
お酒の席とは違って、知らない一面を窺い知ることが出来て、なんだかそれがとても楽しかった。


