彼は、理想の tall man~first season~


――そうきたか。

経済力は間違いなくありそうだから、安い物を見繕うのは気が引けると考えでいたけれど。


「それじゃ、取りあえず必要な調理器を買って、実際あそこで生活してみて、足らないようであれば足らない物を買い足す方が良さそうですかね」

「ああ、そうしようかな。取りあえずだと、フライパンと鍋みたいなのでいいのかな?」

「そう――ですね。後は、お玉とか菜箸とかフライ返しとか、細かな物で」

「そういや、炊飯器がないな」

「えぇっ!? それってかなり重要じゃないですか」

「だよね。取りあえず仕事に必要なもんて考えてたから、すっかり忘れてたわ」


案外抜けてるなーと思ってしまったけれど、完璧すぎないところに、逆に共感が持ててしまった。


「家電も見に行きますか?」

「まだ、時間平気?」

「はい! 今日は、終日フリーです」

「それなら、折角だから付き合ってもらおうかな」

「はい。じゃ、フライパンとお鍋とか選んじゃいましょうか」

色はどれが好みかとか、探りながらではあったけれど選んで決めて。

必要なキッチン用品や食器なんかも何点かチョイスし、買い終えた後、家電量販店へと向かった。