酔って陽気な松本さんを想像してみると、流石に頭にネクタイは巻かないだろうけど。
松本さんのハジけている姿がなんとなく想像出来て、クスッと笑ってしまった。
まあ、その場限りの誘いだろうから実現なんてしないだろうけど――。
中條氏と松本さんの、どこか小ざっぱりとした関係が、見ていて私はなんだか好きだった。
* * *
「れからのことを考えて、忙しくてそんなに作れなさそうであれば、高い調理器具よりは、お手頃価格な物で充分かと思いますけど。あ、メーカーに拘りとかってあったりします?」
「んー全くないね」
「そうですか」
「そもそも、料理をした記憶ってのがないから」
「あー、でも女子サンドですもんね」
「家事の手伝いは妹か姉貴で、俺は食べるの専門みたいな感じだったからね。大学時代は、寮母さんのいる所での寮生活だったから」
「え? 中條さん、寮に入られてたんですか? 私、寮生活って憧れてました」
「そう?」
「はい。勝手なイメージですけど、食堂とかワイワイしてて、楽しそうだなって」
「そういう時もあったけど、男ばっかの寮なんて、むさっ苦しいもんだよ」


