彼は、理想の tall man~first season~


納車後にという話ではあったけれど。

クレジットの引き落とし日は、支店の指定日でいいなら――その条件で今日即決してもらえるならこれでやらせてもらうと、中條氏と私に見積書を渡してくれた。


「流石松ちゃん、出来る男は違うねぇ」

「お前ねー、流石に俺怒られるわ」

「まあまあ、車屋さんは売ってなんぼの世界でしょ」


尚輝が興味深く私の見積書に目を通し。

そして、一通り目を通した後、私の車について松本さんにいくつか質問をしていた。


「美紗は、決めるの?」

「うん、そう考えてる」

「いいじゃん。これだけの値引きなんてなかなかしてもらえないし。つうか、これほぼフル装備だろ? なかなか可愛い車だったし、買っちゃえば」

「うん」

「色は?」

「ホワイトパールにする」

「妥当だな」


こそこそと隣で話していると、中條氏と松本さんは契約を交わし始める雰囲気。

私と尚輝は断って席を外し、お店の角に設けられていた喫煙所へと移動した。


「俺、この後抜けるから、2人で出掛けて来たら? 車好きに使っていいし」

「はい? ちょっと何言ってるの?」

「もう少しさ、仲を深めておいたら?」