麻倉 美紗。

173センチの24歳。


婚期なんて、いつやって来るんだか――。

そういう縁には乏しき、しがないOLだ。


そんな私が、記憶の中で知り合いかどうかを思い出そうとしても、全く浮かんで来ないということは――『知らない』という結論に辿り着く。


背丈がイケてると思っていたその人は、良く見れば顔もまあまあで。

いや――まあまあっていうか、顔立ちもケチの付けどころがなく、所謂イケメンて部類の人だと思った。


ってなると、そういう男の人を私が覚えていないなんて、あり得ない。

忘れるだとかっていう、そんな事態には陥らない。


やっぱり知らない人だよね。

残念だけど、思考はそこに落ち着く。


でも、だったらなんで挨拶?

ナンパって感じでもないし。


なんだかしっくりいかない気分で、それがちょっと気持ち悪くもあった。