なんつーか、大人の男としての余裕みたいなのがあって。
構え方なんかが、ちょっと俺にはない感覚。
こういう人なら美紗に合うんじゃないかと、俺は勝手に思っていた。
美紗の帰宅時間を逆算し、俺は一人外へ出て、タクシー待ち。
軽く雲がかかっていた夜空を見上げながら、考えていたのは、晃と美紗のこと――。
美紗が酔うなんて、何か余程のことがあったに違いない。
それも相手が晃なら、そうなっても不思議ではないと、俺は雲の流れを見ながら思っていた。
なんだかんだで、時間を共にすることの多かった俺達3人。
だから晃の気持ちには中学時代から気付いてた。
そして美紗の気持ちにも気付いてた。
ただ俺の中で、俺に近い存在の奴と――美紗が。
中坊の時はそれは認められないだろうと――そんな気持ちを腹に抱え。
そして、俺は2人の恋路の邪魔をしたという自覚がある。
これまで、美紗に彼氏がいたことはあったが――本気で恋というのはなく。
美紗がまともに恋愛していたという記憶が、俺にはない。
まぁ、晃のことが全てではないにしても、美紗のまともな恋愛が出来ない問題――。


