俺としてはネタが酒でも、多少美紗に興味を持ってくれているという事実に、心の中ではガッツポーズものだった。
「それは、俺にも未知の世界かな」
多少デカく言い過ぎた感は否めないが、美紗が酔うということ自体、珍しい。
それも外で飲んで――なんてのは、ありそうでなかなかない。
だから俺は晃からの電話で、少なからず動揺したんだ。
「それじゃ、今日は、結構貴重なんだな」
「敦さん、」
「ん?」
「俺、敦さんのそういう物の捉え方っていうか、考え方? 尊敬しちゃう」
「――は?」
「いや、あんま女の酔っ払いなんて、いいもんじゃないでしょ? でも、それを貴重とか、そんな事言えちゃう敦さんが、俺的には尊敬っていうか」
「んー? しょっちゅう飲んだくれの酔っ払い女じゃ、そうも思うけど。でも、この前飲んだ時の美紗ちゃんを思い出すと、美紗ちゃんが酔うって定義に当てはまるのは、どれだけ飲んだらそうなんだろうなって、逆に不思議に思ったくらいだったからな」
だから、酔ってる美紗ちゃんは貴重だろう?
そう言った敦さんは、男目から見て、やっぱなんか惚れる要素ありだった。


