「気の合う身内で、家賃折半の相手ってだけだし」
それが男ってだけの話だ、と。
笑い終えた中條氏は、尚輝に真顔で応えていた。
そして、お互い相手のプライベートには興味もないし――と。
そう続けた中條氏は、引っ越しが落ち着いたら遊びに来いよと尚輝を誘い。
尚輝は、いいんすか?
なんて嬉しそうに反応。
「美紗ちゃんも女子禁制って訳でもないから、良かったら今度尚輝と遊び来て」
「あ――はい」
私は私で、大人の男が男とシェアをする部屋に興味津々。
間取りは、こことなんら変わりはないんだろうけど。
どんな感じなんだろうって、想像を巡らせてしまった。
まあ、尚輝に声をかけた手前、私に声をかけないのも――みたいな感じで声をかけてくれたんだろうけど。
頂いていた引っ越し祝いの、お返しもまだだったし。
尚輝とだったら一緒にお邪魔させてもらっても、別におかしくはないだろうし。
私は、都合良く受け止めた。
それからきっちり3人でひと瓶を空にして、更には新しいボトルを開けていた。
話をしているのは尚輝と中條氏で。
私はたまに相槌を打つ程度で、飲みに徹し。
そして、その話の中で、明日は尚輝も一緒にディーラーに行くことが決まり。
今は晃のことで整理がつかない状態だった私は、なんとなくそれもありかもとか思っていた。


