やっぱ気のせいだったか――なんて言われ。
煙草をふかす尚輝は、私からするとやっぱり鋭いとしか思えなかった。
そうこうしている間にも、中條氏が部屋に戻って来て。
尚輝は、急用っすか?
なんて聞いていたけれど。
中條氏は、同居人から――と、そう言って、もとの場所に腰を下ろした。
未だに動揺中の私を余所に、切り替えの早い尚輝は中條氏と普段通り会話をしている。
「日曜日から荷物運びに来るって連絡」
へぇ――と、返す尚輝は、私を中條氏が座っているエリアへと移動するように促す態度を取りながら、私のグラスと灰皿を持って移動。
晃の話ですっかり動揺していた私は、何の抵抗もなしに、尚輝に促されるまま席を移動した。
「同居人て男でしょ? よく一緒に住む気になったね」
同性とシェアって俺にはピンと来ないから、なぁ――と。
尚輝は私に突然「なぁ」の部分から視線を振って来て、同意を求めて来た。
うんとも、さぁとも、どっち付かずの「んー」なんて、曖昧な返しをした私。
頭は縦だったり横だったり、四方八方勝手に動いていて。
中條氏はそれを見て、凄い動きだねなんて言って、やっぱり爽やかに笑っていた。


