「はぁ? いいでしょ別に。お酒飲んでしゃべくり倒せば、誰だって多少は嗄れるでしょ」
言い返した私を、尚輝は黙ったまま見下ろして来た。
さっきみたいに、なんだか嫌な予感がして。
私は視線を外そうとした。
けれど、尚輝は――
「晃と、何かあったか?」
ストレートにそう聞いて来た。
「――なんで? べ、別に、何も、ないけど」
「そうか? 思いっきり動揺してるように見えるけど――それは俺の気のせいか」
「き、気のせいでしょっ、どう考えたって」
どう考えたって、私は言い当てられたことにより、完全に動揺していた。
「ふーん、まぁ、別にいいんだけど」
そして、それを尚輝は流してくれたって、そう思っていた――んだけれど。
「晃に、愛の告白でもされたかと思ってたんだけどな」
尚輝はそんなこと言いながら、軽く笑っていた。
実際には、微かに笑っていて、本気では笑ってはいない作り笑いで。
その言葉と態度に、私の酔いはすっかり醒めた。
「な、なに言ってるの? そんなこと、あるわけないし」
「そうか? 晃の様子見てれば美紗に気がありそうだなって、俺は感じてたけど、」


