彼は、理想の tall man~first season~


「はぁ? いいでしょ別に。お酒飲んでしゃべくり倒せば、誰だって多少は嗄れるでしょ」


言い返した私を、尚輝は黙ったまま見下ろして来た。

さっきみたいに、なんだか嫌な予感がして。

私は視線を外そうとした。

けれど、尚輝は――

「晃と、何かあったか?」

ストレートにそう聞いて来た。


「――なんで? べ、別に、何も、ないけど」

「そうか? 思いっきり動揺してるように見えるけど――それは俺の気のせいか」

「き、気のせいでしょっ、どう考えたって」


どう考えたって、私は言い当てられたことにより、完全に動揺していた。


「ふーん、まぁ、別にいいんだけど」


そして、それを尚輝は流してくれたって、そう思っていた――んだけれど。


「晃に、愛の告白でもされたかと思ってたんだけどな」


尚輝はそんなこと言いながら、軽く笑っていた。

実際には、微かに笑っていて、本気では笑ってはいない作り笑いで。

その言葉と態度に、私の酔いはすっかり醒めた。


「な、なに言ってるの? そんなこと、あるわけないし」

「そうか? 晃の様子見てれば美紗に気がありそうだなって、俺は感じてたけど、」