彼は、理想の tall man~first season~


私のグラスにお代わりを注ぎ、中條氏の許へ移動した尚輝は、中條氏のグラスへウィスキーを注いだ。

サンキューなんて言っている中條氏は、やっぱり爽やか。

だけどその中にも、大人の男の色気みたいなものがあるから、不思議だ。


サッカーと野球をしている姿を想像。

どちらがイメージに合いそうかで浮かぶのは、サッカーで。

バレーとバスケどちらかと考えたら、バスケな感じで。

サッカーかバスケで考えたら、どっちだろうなぁ?

そんなくだらないことを考えながら、今日はどう考えても吸いすぎている煙草をふかした。


椅子の背もたれに寄りかかって完全脱力モード。

グラスを傾けながら背中越しに聞こえてきた2人の会話は、間違いなく仕事の話。

私がここにいる意味なんてないように思いながら、遂には膝を抱え込み。

短くなった煙草を肺に吸い込み灰皿でそれを揉み消し。

そして、煙りを吐き――私は目を瞑った。


聞き慣れている尚輝の声に。

割と低音めだけど、良く通る中條氏の声。

その声は男味に磨きがかかっているようで、その声色で、耳元でそっとなにかを囁かれたら。