「なにがだよ?」
尚輝がいきなりドアを開け、部屋を覗き込んでいた。
いきなり吃驚させないでよ――と思いつつも、私はベッドから体を起こした。
ただ、あまり尚輝に深く探られたくない私は「別に」と発し。
すると「ふ~ん」と、私を見据えながら尚輝は返して来た。
洞察力が割と長けている尚輝とは、目が合ったままで、私はそれを少し怖く感じていた。
晃と飲んでいて、あんな話をした後だから、尚輝になにか悟られないか正直不安で。
だから、スッと視線を外したんだけど。
外した直後「早く来いよ」と、尚輝はドアを全開にしていた。
特に何も言わなかったということは、悟られなかったということなのか?
それとも、何か勘付いてはいるけど敢えて何も言わないのか?
考えても、今はまともに答えは出そうにない。
落ち着かないながらも、私は煙草を手に、中條氏もいるリビングへと向かった。
「美紗、お前、何飲む?」
「え? 私も飲むの?」
「なんだよ、飲まねーのかよ」
尚輝が軽く抗議の目を向けて来て、中條氏の視線も感じ――。
飲むけどもうそんなには飲めないよと、躊躇気味に呟いた。


