「そうですか」

僕は特に顔色を変えることなく言い放つ。

場の空気が、凍てついた。

この空気は嫌いだ。

人を、死に錯覚させるような・・・そんな空気。

「恨まないのかい?君の敵である俺を」

にんまりと気持ち悪い笑みを浮かべる客。

「表へ出ましょう」

全然うざいと思わない。

あのことがあったから、僕は佐助さんに出会えたのだから。
この手口で近づくやつはたくさんいる。

彼もその、一人だろう。

だから彼は僕の両親を殺していない。


「・・・僕はあなたを殺したくない。でも、いずれ彼方は佐助さんの邪魔になる人物だ。彼方を恨んでいるわけではない。すみません・・・。恨むなら僕を恨んでください。あの人は関係ありません」

殺したくない・・・。

本音かな・・・??

僕は人を殺したいんだったりして。

「みすみす殺されるような軽い奴じゃないんだな、俺も」

残念ですね。

彼方が刃向ってきますか。

ならば僕は、あなたを・・・


彼方を、殺します!!!


シャキーン、カンっ!!!

剣がぶつかる。

しかし、先手はうった!

「ガハッッ!」

相手が吐血する。

ああ、かわいそうに。

僕に刃向うから。

こんな目にあってしまっって・・・

「これが最後です。彼方を殺したくない・・・あなたは佐助さんを殺そうとしているでしょう?さようなら」

僕はまた、罪を犯した。