「哉・・・とやら、何のつもりだ」

「佐助さん、敵ではありません」

佐助さんは疑っている。

哉を。

しょうがないと思う。

だって、彼女は徳川の家系。

僕らを騙している可能性も、なくはないのだ。

「麗、お前は黙っておけ。俺は哉に聞いているのだ」

「申し訳ございません」

この気はすごい。

さすが、江戸の鬼・・・というべきなのだろうか?

この気に、哉がやられてしまわなければよいのだが。

いや、それはない。

この人を見て怯えない人はいない。

「・・・わたくしは、彼方に仕える覚悟です。それが悪だとしても。わたくしも、誰かのために生きたいと思ったのです。お願いです、わたくしを・・・信じてくださりまし」

一国の姫様が庶民に頭を下げるなど、なかなか見られない光景だ。

って、感心している暇は、ない。

「ふっ・・・気に入ったよ、哉。いいだろう、ついてこい!」



君は、最後まで佐助さんに仕えたね。

僕とおんなじように。

見事だよ、哉。

ああ、僕の番も来そうだ。

すぐ行くよ、すぐ行く。

ちょっと、待っていてね。