「雪ちゃん・・・和哉は最後になんて言ったの?」


和哉が最後に言った言葉・・・。



「手紙はもらってくって・・・」



何のことだろう?と不思議そうにする雪乃に、今度は雄大が話してやる番だった。




途中雪乃が口を挟みつつ・・・最後まで話し終える。



雪乃は大正館で手紙を書いた事を知らなかったらしい。そして・・・。




「その手紙が俺のも・・・雪ちゃんのも・・・消えたんだ」




あの後、もう一度読もうとした時には・・・手紙はなくなっていた。




和哉の両親が持ってきて、枕元に置いておいたはずの雪乃への手紙も・・・・なくなっていた。




「和君・・・手紙になんて・・・」




書いてくれたんだろうとは・・・最後まで言わなかった。




雪乃はどこかで分かっていた。




和哉が手紙に書いた内容を・・・・きっと夢の中で言ってくれたことを書いてくれたのだろう・・・・だから手紙はいらなかったのだ。