「あら、元気そうね。体調は、もういいの?」

「…え?」

「あんた、昨日から体調良くなかったって聞いたわよ。それならそうと、言いなさいよ。母親失格だと思われるじゃない」


「え?」


母の言っていることが理解できず、首を傾げる。


「朝、沢先生から電話頂いて"昨日から体調悪そうだったので、今日はゆっくり休んでくださいとお伝えください"って」

ドクン。

沢先生が…

「ビックリして部屋に行ったら、あんた涙流しながら寝てるし」

「!」


「体調悪いなら、言いなさいよ。もう…」


先生、謹慎になったこと言わなかったんだー…

どうして?


「あ、後。あんたの鞄!いくら体調が悪いからって、学校に置いてこないでよ」


「…誰が、鞄持ってきてくれたの?」



「誰って、沢先生に決まってるじゃない!」

ドクン!

先生が来ていたー…

「あんたの顔見て、帰られたわよ。起こしても、起きないんだから」

「…」

「明日も休むようなら、直接電話くださいって言ってたわよ。…って、ちょっと!麻由美!?」

身体が勝手に動いた。

階段を駆け上り、自分の部屋へ。

ベッドの上に置いてある携帯を手に取り、開いた。



「…」


携帯を開くと、表示されているのは待ち受け画面ではない。



眠る前には、待ち受け画面にして閉じたはずー…なのに、表示されたのは、メールの新規作成画面。


そこにはー…


「…どうしてっ…」




【今度は、いい恋しろよ】



短文の一行だけのメッセージが、書かれていた。