気付いたら、窓際に立っていた。

そして、開いている窓から自分の作品を、風に乗せるように手から放した。


「…」


提出しなければ、夏休みの少しの間は先生と一緒にいられる。


「永井!何してんだ?」

ビク!

風に乗って落ちて行く自分の作品を見ていると、沢先生が声を掛けてきた。


「お前作品って…おい!飛んでってるの、お前の作品か!?」

「え…あ…」


「今日提出だぞ!?取りに行け!取りに!」

「あっ、はい」


沢先生に言われた通りに、慌てたそぶりを見せ美術室から出た。



作品が飛んで行った方向には、プールがある。


「プールに落ちてると、いいな」


そんなことを考えながら、作品を取りに行った。