「激励する相手がいないなら、壮行会の意味がないわね」
優雅にミルクティーを啜り、舞白が尤もな事を呟く。
啓太としても正直さっさと帰って貰いたい。
が、
「あーそれと……来れない代わりにケーキ作って送ったから、是非食ってほしい……らしい」
虎次郎のケーキ発言に
「……ケーキ」
「マリー先生ナーイス!」
俄かにテンションを上げる幸多双子。
そんな二人を余所に、自称甘党の虎次郎は何故か物凄い勢いで蒼くなっていく。
タイミングよく
部屋のドアをノックする音がした。
「あ、はーい」
啓太が急いで行って扉を開くが、そこには誰もいない。
けれどもよく見ると、ドアの前にメッセージカード付きの白い箱が置いてあった。
その場でカードを抜き取って見る。
『フルーツケーキです。よかったら皆さんで召し上がって下さい。京極』
カードには、女性らしい丁寧で読みやすい文字でそう記してあった。
「マリー先生からだ」
ケーキだけを置いていくあたり、どうやら京極鞠子自らのお届けだったらしい。
箱を持ってドアを閉めると、啓太は皆のもとへ。
「マリー先生からフルーツケーキが届きましたよぉ」
箱をコタツの上に置き、キッチンから人数分の皿とフォーク、包丁を取ってきて準備万端だ。
「あ、あの……食べ終わったら、皆さん帰って下さいね?」
「アハハ、わかってるよぉ」
ケラケラ笑う千歳。
言うまでもなく嘘である。

