「あ、しまじろう」
「あ、無駄に俺にキャラ被せてくる保険医」
「いや、だから被せてんのはそっちだってば」
廊下の角からヌっと現れたのは、我等が保健室の先生。
「丁度良かった、はいコレ」
差し出されたそれを凝視して、しまじろうは叫ぶ。
「こっこれは“角砂糖”!」
“角砂糖”といえば、余りの甘さから飲んだ者をたちまち病院送りにするという驚異の破壊力を持つ飲料(?)である。
そんなモンが何故販売されているのかなんて野暮な事を訊くのはナンセンス。
何せここは、マグマの如き超ウルトラド級激辛火鍋が学食で出されるような学園なのだから。
「まぁソレ飲んでお互い午後も頑張りましょー」
頑張ろうと言うわりにはやたら気の抜けた喋り方をして、保険医はホームグラウンドへと戻って行く。
その時、しまじろうは衝撃のあまり動けなくなった。
見てしまったのだ。
保険医が空の“角砂糖”の缶を、廊下のゴミ箱に捨てて行くのを。