「おい新倉ー、てめぇちゃんと授業出ろよー」
「面倒」
昼休み。
しまじろうこと虎次郎は、廊下で偶然、四限の世界史をサボった男子生徒と遭遇する。
ご存知の通り、その生徒はサボりの常習犯である。
「いくらテストの出来が良いからってなー、普段の授業出なかったら平常点取れねぇんだぞ」
「別に」
今でこそ可哀想な扱いを受けている虎次郎だが、学生時代は喧嘩に明け暮れていた。
大学進学の際には相当苦労して、教頭に随分お世話になったものだ。
そんな訳だから、せっかく才能があるのにやる気のないその男子生徒に対し、彼は授業に出るよう呼び掛けてみる。
比較的短気なしまじろうにしては珍しいくらいに根気よく。
が、如何せんそれは実を結ばず、生徒はスタスタとどこかへ行ってしまった。
流石のしまじろうも、自らの経験から、無理強いが良くない事はよく知っているので、下手に追いかけたりはしない。
彼なりに一生懸命熟考して、もう少し様子を見る事にした。
そのまま踵を返し、職員室へ。
ポケットに手を突っ込んで猫背気味にフラフラ歩いていると。