夕闇迫る天神学園。
二年生の校舎のとある教室に、二つの影。
「――――距離を感じるんです、彼女との」
小さい方の男は言う。
いや、“男”というよりは“少年”といった方がしっくりくるかもしれない。
「距離?」
「この前の美少女二十選に選ばれてから、余計に遠くに感じられて」
女の子だと言っても十分通りそうなあどけないその顔つきは、どこまでも、ひたむきで。
もう一つの影の主である黒髪の男は、思わず視線を逸らしてしまった。
「僕じゃ、彼女にはつりあわないから」
俯いた少年を、柔らかな蜂蜜色が濡らす。
夕陽がとても綺麗だ。
明日もきっと、晴れる。