アリスカが学校を休み始めてから、もう何日になるだろう。
寒空の下、啓太は一人、購買で買ったパンを齧る。
一人きりで食べる昼食は、どうにも味気ない。
友人が一緒に食べようかと誘ってくれたが、気を遣わせるのが申し訳なくて断ってしまった。
中庭は酷く寒かったけれども、寒さ故に他の生徒がいないのは、今の彼にとっては救いであった。
冬期限定はちみつ生姜パンを咀嚼しながら、啓太は手にした携帯の画面に視線を落とす。
……着信は、ない。
「はあ、どうしたら良いのかなぁ。ねぇミユキさん、どう思います?」
別人格に意見を求めようとした時
「そんなに心配なら、彼女の部屋へ直接会いに行けば良いのではありませんか」
突然声を掛けられて、彼はビクリとした。
「アルフレドさん……」
立っていたのは、大量の書類を抱えた同級生だった。
「無理ですよ。僕、彼女に避けられてますから」
その言葉に、相手は僅かに顔を顰めた。