「それに」
穢れなき幼女の表情が、一瞬のうちに無慈悲なそれに変わった。
黄昏時にも似た柔らかな空気が、ぐらりと揺らぐ。
「案外小岩井さんも思ってるかもよ?死神どころか、悪魔にさえなってやろう、とかね」
そう言って、幼い子は艶やかに笑う。
舞白の背を悪寒が駆けた。
蜘蛛が全身を這い回っているかのような、感覚。
「――なぁんてね」
はっと我に帰ると、目の前のラグナロクは実に子供らしい無垢な笑みを浮かべていた。
「サタンっていうのは嘘でぇ、この子の名前はエリザベスちゃんでしたあッ!」
“エリザベスちゃん”ですって?
思わず吹き出しそうになるのを抑えながら、舞白はふ、と微笑んでみせた。
「その名前、すぐに変えてあげる事をお勧めいたします。とあるくまのために、ね」
【死神臨時会議・終】