「皆さんもご存知の通り、私の担当する天神学園には“小岩井防人”という地縛霊がいらっしゃいます。彼は幽霊界――いえ、私達死神の間でもその名を知らぬ者がいない程の高等霊でありながら、現在は専ら保健室で穏やかに過ごされています」
「穏やかっつっても、最近じゃ派手な動きも結構目立ってるけどな。あの人もお前も」
「えぇ、そうですね」
敵意を孕んだ衣羅の呟きに、舞白は無表情のまま頷く。
衣羅君、ちょっぴり拍子抜け。
「その小岩井さんから先日、地区長の方に申請があったそうです。自分に昇格試験を受けさせて欲しい、と」
またしても騒がしくなる、会議室。
「オレは反対だ」
衣羅が挙手して立ち上がった。
「確かにあの人の力は認めるし、お偉いさん達もあの人が仲間になるのを望んでるってのはみんな知ってるが、この仕事をこなすには優し過ぎるだろ、あの人は」
相変わらずホットケーキを頬張っていたグラトニーを始め、半数以上がそうだそうだと頷く。
「イライラ君の言ってる事も正しい!でもね……」
地区長ラグナロクは上目遣いで皆を見渡す。
「反対意見はぜぇんぶ却下しますッ」
嗚呼、なんという暴君。
ツッコむ気力も勇気もない面々。

