「それでは全員揃いましたので、天神学園地区臨時会議を始めさせて戴きたいと思います」
進行役の厳格そうな死神が口を開き、漸く会議が始まる。
静寂に包まれる空間。
唯一、ラグナロクがアヒルのおもちゃを弄る緊張感のない音だけが聞こえる。
進行役は不快そうな視線を上司に向けたが、それでも鳴き続けるアヒルに観念したのか、再び話し始めた。
「今回の議題は、我々の管轄地域に於ける高等霊の死神昇格に関してです」
刹那、その場が蜂の巣をつついたように騒がしくなる。
「昇格ってもしかして、“あの男”の事かい?」
「けど“あの人”って確か、死神昇格に興味ないんじゃなかったの?」
「どうせ肉体目当てじゃねーのか?」
「“あの人”がそういうタイプの人だとは思えませんがねぇ……」
それぞれから勝手な憶測が飛び出すのを
「静粛に!」
進行役が顔を真っ赤にして静める。
「では“雪兎”、報告を」
「はい」
今まで目を閉じて黙していた舞白が、音もなく立ち上がった。
皆の視線が一瞬のうちに彼女へ注がれる。
再び訪れた静寂。
相変わらずのアヒル。
なんだかやりにくいな、と思いながら、少女は緩々と喋り出した。

