人間には決して見つける事の出来ない空間内にある部屋、そこに集う十数名の人間。

否、彼らは肉体を持った――死神。



“生前最も生命力に満ち溢れていた時の”身体をしているため、殺風景な部屋の中央に置かれた会議テーブルを囲む死神達の姿は、老若男女様々。

まだ幼稚園に通っているような小さな子もいれば、本当に生命力に溢れているのか疑わしい、杖をついた老人もいる。



彼らは皆、ライトレザーのゆったりとした椅子に腰掛け、一人の少女の到着を待っていた。

予定時刻から既に十五分が経っている。



「チッ……まったく、またアイツかよ」

先程から貧乏揺すりをしている、中学生くらいの少年が苛々した表情でぼやく。

「いつまで待たせんだよあの女」

「こらこら衣羅(いら)君、怒ってばっかりいちゃダメだよ。糖分足りてないんじゃない?ホットケーキ食べる?」

「うっせぇグラトニー!子供扱いすんな!つうかお前も会議するトコで物食ってんじゃねぇよ!」



隣に座って分厚いホットケーキを貪る大柄な女性グラトニーを、衣羅と呼ばれたその少年が怒鳴るが。