救護テントは男子生徒で溢れていた。
白兎の君にお姫様抱っこされているツインテールを、彼らは羨ましそうに見つめる。
ミイラと化した葉っぱ姉弟の弟の前を、舞白は怪訝な顔をして通り過ぎた。
奥にある簡易ベッドに少女を寝かせ、テントをあとにする。
そこへ。
「銃の腕なら、アイツより俺の方が断然上だったな」
ふわりと呟いて現れたのは、血まみれの白衣を羽織った早川虎次郎教諭だった。
「次、夕城んトコの嫁さんとだろ?俺も前に一度闘った事あるが、アイツぁ強いぜ?まぁ頑張れよ」
虎次郎は、気まずそうに黒髪をボリボリ掻き毟る。
「心にもない事を」
顔を僅かに顰めると、真っ直ぐな視線に射ぬかれた。
その双眼は、穢れを知らぬ瞳などではない。
あらゆる憎しみに傷付き、それでも尚、前を向き続ける目。
自分とは無縁なものだと、どれだけ手を伸ばそうが手に入らないものだと、自分が一番良く知っている。

