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リングの中心から、審判である李龍娘が準決勝第二試合の勝者を告げる声が響く。

突然の決着に、観客席は騒然とする。



喚声の中を、対戦相手を抱えた舞白は音もなく進む、進む。



先程までの恐怖に涙する姿が嘘のように、安堵した表情を浮かべ眠る、深紅の髪の少女。

腕の中の彼女はさながら、穢れを知らぬ天使。



「本当の自分、か」

ふと思い出して、舞白は考える。
本当の自分とは、なんだろう。



傍観者であり続けようとする自分?

死神として大鎌を振るい、丹下龍太郎を斬った時の自分?

“彼”を止められない自分?



「……どれも偽りばかりね」

失望したように、溜息をついた。

しかし空はそれすら許さないとでも言うように、ぽたりと涙を零す。

雨粒は頬に落ちて、赤く染まった。