寝ていたために眼鏡を掛けていない事も理由の一つであろうが、
彼は、どこか普段と様子が違って見えた。
何かを憐れむような、だが楽しむような、しかし感情の一切をなくしたような顔をして、そのアイスグリーンの瞳で直接少女を捉えている。
制服のシャツから覗く白い肌は、さながら陶器のようで。
――妖艶、なんて単語、彼とは無関係なものだと思っていたのに。
おかしい。
彼はいつだって疲れた表情をしていて
真面目な性格故か、纏う空気は常にぴんと張っていて。
なのに今は随分と余裕そうに、妖しく微笑を浮かべている。
しかし同時に、圧倒的な威圧感をも感じるのは何故だろう。
「他人の心配とは、珍しい」
嘲笑う少年。
彼女の中で、違和感はますます膨らむ。
「いっそ、ボクの駒にでもなってくれませんか」
氷より冷たい表情をしたまま、アルフレドは言った。
舞白の目が見開く。
「ハハハ。冗談ですよ」
愉快そうに、少年は口角を上げた。
舞白の知る彼は、こういう冗談を言える男ではない。
聖者の仮面を剥いだ詐欺師
と
道化師の皮を被った賢者
目の前にいる少年は、一体、どちらか。

