「美葉ちゃんの弟だっけ?そいつに来てもらえば良いんじゃないの?休学してるんでしょ?」
早くなんとかしろ、とばかりに千歳は早口に言うが
「ダメ!弟は大事な修行中なんです!それに葉也じゃ、ここに辿り着く前にまた遭難しちゃうもん」
敢えなく却下。
しかし実に賢明な判断である。
余所のお子様の事をあまり大きな声では言えないが、仮に葉っぱ弟が自力でここへ来れたとしても、状況が良くなるとは思えない。
「じゃああの子は?弓道仲間の――」
「そもそもあの子、携帯持ってるかどうかもわかんないし」
却下。
「お嬢さ――」
以下同文。
却下。
「生徒指導部長――」
「今朝携帯握り壊しちゃってるの見ました」
却下。
「あっ、それならかぐや姫の弟――」
「そっそれは絶対にない!」
却下。
けれども美葉さん、顔真っ赤ですよ?
もう、この子ったらツンデレなんだからぁん。
そんなこんなでグズグズしているうちに、二人の命綱とも言うべき携帯の電池が底を突いた。
「えー!?朝充電したばっかりだったのにっ」
言うまでもなく、不幸体質のせいですごめんなさい。

