「あら……」
いつもの椅子にゆったりと座った我らが生徒会長閣下、白神月は
光をなくした灰色の瞳を、漸く現れた副会長へと向けた。
「おっ、遅く……なり、ました」
息も切れ切れのアルフレドに、
「その様子だと、どうやら龍娘先生には会えたようですねえ」
月は“魅力的な”笑顔を見せる。
ここでちょっと思い出してみて欲しい。
天神学園高等部生徒会長が一番魅力的になるのは
どんな時か――
「イリアさん。時間の方はどうなっていますか」
月に促され、彼女の後ろに控える猫耳メイドが淡々とした様子で口を開いた。
「バルツァー副会長、二秒の遅刻、です」
二秒の遅刻です。
遅刻です。
です(エコー)。
相手が生徒会長でさえなければ、二秒くらいの遅刻、きっと大目に見て貰えただろうに。
哀れなアルフレド君。
「あらまぁ」
生徒会長その人は、小さな口に指を当ててコロコロ笑っているが、目がこれっぽっちも笑ってない。
走って真っ赤になっていたアルフレドの顔が、凄まじい勢いで再び蒼くなってゆく。
「貴方のような真面目な部下を手放すのは私としても非常に残念ですが、仕方がありませんよねえ」
さながら大蛇に締め付けられているような、尋常でない圧迫感に、強靱な精神力を持つ彼でさえ足が震える。
このままでは、
良くて生徒会クビ
下手をすればジェノサイドの餌食。
冷や汗が額を伝う。

