■貴族服が欲しい
「あの」
「ウ〜ララ〜♪」
「あの、すみません」
「なんだい、フロイライン」
「ボクはお嬢さんではありませんが」
「では、なんだい迷える少年よ〜♪」
「ちょっとお訊きしたいのですが、その衣装、どちらで購入なさったものですか?」
「まさか君も僕のような愛の伝道師になりたいのかい?ただ君は少し……愛を説くには堅過ぎるようだけどねぇ」
「他人に愛だ恋だを語るつもりはありません」
「嗚呼っ、それは残念」
「それよりその貴族服はどちらで――」
「ならばフロイライン、貴方は何に悩み、その魅惑の瞳に憂いの溜め息を浮かべるのか〜♪」
「ですからボクはお嬢さんでは――」
「さぁその凍てつく心の鍵を開いてごらんっ」
「……………………もう結構です」
*
こんな筈じゃなかったのに。
本当にすみません。