遅刻魔の事は諦めて校舎に入ると、一般生徒の登校時間には早過ぎるせいもあって、ちらほら歩いているのは皆教員。
その一人一人に丁寧に挨拶をしつつ、アルフレドは生徒指導部長のもとへと急いだ。
の、だが。
まだ教師しか来ていないと思われる一階の長い廊下を進んでいると、
突如、二人の男女が彼に飛び付いて来た。
助けてくれと言いながら。
……そう、ダイナミック方向音痴の姉弟である。
話を聞いてみると――聞く前に向こうから話し出したのだが――、この二人、修学旅行の前日に続き昨夜も家に帰りそびれたらしい。
そもそも、家に帰るどころか校舎から出る事すら出来なかったと言う。
一言喋る度に腹の虫が鳴き出す姉と、放っておいたらフラフラどこかへ行ってしまいそうな弟。
またも溜息をつくアルフレド。
「仕方ありませんね。教室まで送って差し上げますから付いて来て下さい」
流石生徒会副会長バルツァー君、全校生徒の名前とクラスは把握済みである。
が、彼はわかっていなかった。
この双子の辞書に“付いて行く”という文字が存在しない事を。
本来なら一分と掛からず行ける筈の一年生の教室に、
出発後五秒ではぐれた二人を捜し回った末、アルフレドが双子を送り届けたのはそれから三十分経ってからであった。

